ミステリーとして素晴らしいのはもちろん、登場人物の動かし方が良く、題材にしている社会問題を組み合わせるのがとても上手いのでメッセージ性が強いのが魅力でした。
いきなり閉じ込められた少年少女が過去に起きた事件について改めて見つめ返していくことでそれぞれが抱えている傷は浮き彫りになっていくがそれ以上に皆を救っていた茜さんの人物像が見えてきて、真相に迫っていくうちに茜さんがなぜ死んでしまったのか気になって仕方なかったです。
家庭内暴力、児童福祉課の大変さ、辛い現実が産んだ真相でしたが、決して悲観することなく前を向いていける終わりだったのは救いでした。
茜さんのように人を差し伸べられるようになりたいものです。
監獄というのはどこにでも生まれてしまうことと監獄から抜け出したら目指す場所は痛みを別れる人間になるというのが今作品で見に染みました。
松村先生は絶望を乗り越えて、希望を掴むのを描くのが上手いですね。
廃屋に閉じ込められた六人の高校生たち。あるのは僅かな食糧と、一通の手紙―。“私を殺した犯人を暴け”差出人は真鶴茜。七年前の花火の夜、ここで死んだ恩人だった。謎の残る不審な事故だが今更誰が何のために?恐怖の中、脱出のため彼らはあの夜の証言を重ねていく。児童福祉司だった茜に救われた過去。みんなと見た花火の感動。その裏側の誰かの不審な行動。見え隠れする嘘と秘密…この中に犯人がいる?全ての証言が終わる時、衝撃の真実が暴かれる。衝撃ミステリー!