羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

蟬かえる

蝉かえる サーチライトと誘蛾灯 (ミステリ・フロンティア)

前作のサーチライトの誘蛾灯を文庫で読み、続きを読みたいなと思ってたので文庫を待とうかと思ってましたが、待ちきれずに単行本で読みました。

自分の好きなミステリー作家さん達が絶賛していましたが、それも頷けるミステリーでした。

表題作の蝉かえるはミステリーとして王道をいった形で読み終えた後の余韻が素晴らしいですし、タイトルの意味や謎の真相が分かった時の衝撃が凄いです。そういうことかぁとすとんと頭に落ちる感じは凄いですし、切なさに溢れています。多くの人に読んでもらいたい。

 

 

蝉かえる以外の収録作も粒揃いで謎の正体を追っていくのが止まらない話ばかりで、素晴らしい一冊になっています。

コマチグモ、サブサハラ蠅の事件もせつない背景が事件に繋がっていて惹きつけられるし、主人公の泉のひらめきと情の厚さも美しいなと思いました。

 

まだまだ続きが読みたいシリーズです。

 

 

ブラウン神父、亜愛一郎に続く、"とぼけた切れ者"名探偵である、昆虫好きの青年・エリ沢泉(えりさわせん。「エリ」は「魚」偏に「入」)。彼が解く事件の真相は、いつだって人間の悲しみや愛おしさを秘めていたーー。 16年前、災害ボランティア中の青年が目撃した、神域とされる森に現れた少女の幽霊。その不思議な出来事に対し、エリ沢が語った意外な真相とは(表題作)。交差点での交通事故と団地で起きた負傷事件の謎を解く、第73回日本推理作家協会賞候補作「コマチグモ」など5編を収録。注目の若手実力派・ミステリーズ! 新人賞作家が贈る、ミステリ連作集。