羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

愛に殺された僕たちは

愛に殺された僕たちは (メディアワークス文庫)

 

家庭環境によって人生は左右されるのは辛い。

しかも子供は親を選べないし、親も子を選べない。無常だ。

 

運が悪く、毒親を引いてしまった主人公灰村のもとにまた毒親を引いてしまった逢崎が現れる。

親の歪んだ愛に殺されそうになっている2人が出会い、大きく変わっていく。

殺人鬼を利用して、互いに親殺しを目標に身近のやっかいなやつから試しに狙わせていく、非日常な危ない方向へ舵を切ってしまうのは仕方ないのかもしれない。むしろ自然な風に感じてしまうくらい灰村と逢崎の日常は狂っていていたんだなと。

1度舵を切ってしまったら、後は落ちていくだけ。

日頃苦しみ続けていた2人が地獄から抜け出せると可能性が湧いたら無理はない。

とことん落ちていく2人から目を離せない。

小さな幸せを噛み締めている無邪気な姿は子供らしさが感じられました。

 

共犯関係に酔いしれてしまうくらい興奮していた2人は自分達の行いを見て見ぬ振りをしていて、それを突きつけられる展開は非常に上手い。

 

終盤は怒涛の展開で殺人鬼の正体が明らかになり、そして灰村が下した決断には恐れ入りました。そんな灰村に影響されて逢崎も自分が何をすればいいのか答えを見つけ出せたようで、救いを感じました。

 

 

 

恋人に貢ぐために、義理の母から保険金殺人の標的にされている高校生・灰村瑞貴。父親の身勝手な愛情により虐待され、殺される瞬間をただ待つだけの少女・逢崎愛世。歪んだ愛に苦しむ彼らが見つけたのは、連続殺人の予定が記された絵日記だった。共犯関係になった二人は、絵日記を利用して殺人鬼に親たちを殺させる計画を立てる。しかし、愛を憎んでいた瑞貴は、愛世に対して生まれたある感情に気づいてしまい―。彼らが選択する結末とは?真の愛を問う衝撃の青春小説。