五十嵐律人先生のストーリーテラーっぷりが発揮されていて最高でした。
設定、登場人物の目的がしっかりしてる分、結末にかけて高まる展開をしている。
冤罪である場合だと死者の幽霊が出てくる。死者が見える法律家の葛藤はいかにといったところ。起訴率を上げるために踏み込まないといけない、しかし証拠がないというのは歯痒い問題。
今作だと死者が見える段階で真相は違うと見抜けるが、現実だとそうはいかない。死者が出てくるからこその真実には驚きました。
設定の意味と狙いが気持ちいいくらい絡んでいて、良かったです。
〈その日から僕は、死者が視えるようになったのである──〉
それは暗い夜のことだった。
検事である僕・印藤累(いんどう るい)は、夜道に立ち尽くす幽霊の存在に気づいた。
動揺する僕の前に現れたのは「案内人」を自称する親しげな青年・架橋昴(かけはし すばる)。
彼はこの世に未練を遺す幽霊を、ある場所に導くというのだ。
それは、真夜中にだけ開かれている弁護士事務所……その名は「深夜法律事務所」という。リーガルミステリの旗手が拓く新境地!