羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

チルドレン

チルドレン (講談社文庫)

自分の中の信念を曲げずに貫く陣内が憎たらしくも嫌いになれない人物で、陣内に引っ張られるように読み進められました。

陣内は明るい陽気な部分と薄暗い陰な部分が秘められていて、そのバランスが絶妙でした。彼が吐く言葉は暴論に聞こえるが、心に届くものがあります。

相方の鴨居との絡みも良く、家庭調査官の仕事も適当のように見れるが相手の為になっているのが凄いですね笑

様々な事件に巻き込まれるが、思わぬところに着地するのが面白い。

チルドレンは2話あるが2話読んだらグサっとくる結末でした。

短編でありながら、長編とも取れる構成で、陣内の過去未来の時系列をずらすことで、興味が尽きないようになっていた。

また、語り手の鴨居も陣内に影響を受けて変わっていくが本人が無自覚なのは良いですね。

 

目が見えない永瀬の価値観や物の見方が多くの人に伝われば良いのになと。

視野が広くありたいです。

 

 

(あらすじ)

「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々―。何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。