羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

断罪のネバーモア

断罪のネバーモア

 

最初から、最後まで市川憂人先生の手のひらの上で転がされました。

なるほど!と怒涛の違和感回収の終盤のカタルシスは見事でした。

短編形式で、1話1話解決していくものですが、どこが違和感が残りながらの解決でしたが、意味があって、最後にひっくり返していくのは衝撃でした。

序盤から中盤まで市川先生らしくないというか、モヤモヤしながら読み進めてましたが短編でありながら実は…みたいな仕掛けで驚きました。

 

刑事が主人公で、警察小説では中々見られない追求をされて、苦しみながらも正義を追い求めていく姿勢に勇気を貰えました。

主人公・唯歩が失敗を重ねながらも解決へ奔走していくのは良かったです。

また。警察という組織を描いていて汚職や男社会、偽装、腐った部分というのにも追求していき、そこを物語に組み込むのが巧みでした。

 

唯歩の相方・仲城の真意が中々見えなかったが、終盤までいき、色々明かされていくと彼の思惑が明らかになると見方が変わりました。

 

真実を追い求めていくことで、優越感や万能感を得たとしても関係者の救いになっているならば、良いですよね。

 

今作がノンシリーズモノなのか、シリーズモノなのか気になります。

読み終えても、まだ唯歩がこれからどうなっていくのか気になってしまいます。

 

警察小説と本格ミステリが奇跡の融合。新米刑事が綻びから世界の欺瞞を暴く

度重なる不祥事から警察の大改革が行われた日本。
変革後の警察にブラックIT企業から転職した新米刑事の藪内唯歩は茨城県つくば警察署の刑事課で警部補の仲城流次をパートナーとし殺人事件の捜査にあたる。
刑事課の同僚たちの隠しごとが唯歩の心を曇らせ、7年前の事件が現在の捜査に影を落とす。
ノルマに追われながらも、持ち前の粘り強さで事件を解決した先に、唯歩を待ち受ける運命は――。
リアル警察小説と本格ミステリの2重螺旋! 白黒が全反転する奇跡の終盤に瞠目せよ!!