羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない

霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない (ガガガ文庫)

 

綾里けいし先生がガガガ文庫デビュー。

 

かみさまになれなかった藤花と見守る朔。

2人の特別な関係に惹きつけられる。

 

幻想的な描写と普段の日常の描写が良い感じに書き分けられていて、朔と藤花の関係性だったり、一緒にいる背景が想像しやすくなっていました。

 

2人の下に特殊な事件が舞い込んできて、それは常識から外れている状況。

ミステリー要素はほんのりあり、事件の中身やそこに至るまでの過程に驚かされました。

思いもよらない結末を迎える各話の余韻に浸るのが不思議と心地よい。

 

終盤に朔、藤花の秘密が明かされて、謎めいていた2人の事情には感情揺さぶられました。

縛られていた関係ではなく、互いに求め合う関係になれたので良かった。

 

上手く1冊にまとめられていたが、続いて欲しい。

 

 

その少女は「かみさま」のなりそこない――

藤咲藤花の元に訪れる奇妙な事件の捜査依頼。
それは「かみさま」になるはずだった少女にしか解けない、人の業が生み出す猟奇事件。

人の姿を持ちながら幽世のものに触れる異能をもつ彼女は、事件の解決に自分の居場所を求めて歩む。
そして、その隣には「かみさま」の従者として彼女を守る役目を負うはずだった青年・藤咲朔の姿が常にあった。

数奇な運命のもとに生まれ――そして本来の役割を失った二人は現世の狂気のなかで互いの存在意義を求め合う。
これは、夢現の狭間に揺れる一人の少女と、それを見守る従者の物語。