素晴らしすぎて、感情が揺さぶられること間違いなし。
罪を罪だと分からず、馬鹿みたいに残酷なことをする犯人に対してどんな罰を与えるのか考えていく"ぼく"の思考や倫理観や人に対する罰について教えてくれる先生のお話に夢中になって、読んでいきました。
犯人をただ殺せばいいのか、無視して生きるのか、大切なものを壊させるのか。
様々な考えを通っていて、読んでいて自分だったらどう思うのかなと考えたくなる物語でした。
周りの子供よりも少し大人なふみちゃんが胸を裂かれるような事件を目の当たりにして、心を閉ざしてしまう。ふみちゃんを救うべく、ふみちゃんの友人である僕が考えに考え抜いた答えには泣きたくなるくらい切実な気持ちがありました。
まさかの台詞で、見事に騙されました。
小学生ながらその決断を下せるのは凄いが、そこに行き着かせてしまったのも悲しくもなりました。
最後に明かされたふみちゃんの内心には嬉しくなったし、これからの"ほく"とふみちゃんの未来に希望があらんことをと願うばかりでした。
読み終えてみるとタイトルからして巧みだなと。
他作品の登場人物も登場してくるのは良いですね。
「書き終えるまで決めていたのはただ一つ、 <逃げない> ということ。――私の自信作です」――辻村深月
ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった――。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に1度だけ。これはぼくの闘いだ。