前巻で甚夜は父と再会し、家族のような場所を見つけたのに、それも長くは続かなかった。甚夜は戦場でしか生きられないのか。
今回は穏やかに終わるかと中盤までは思っていたが、そんな甘くなかったか。またもや心締め付けられる別れが甚夜を襲う。甚夜にとっては試練の展開で、これからの旅路が心配になる。
作者の甚夜への扱いが手厳しい。
前半の短編2本が表題作に繋がっていて、1冊の本でまとめるにはちょうどいい構成になっていました。
全体的に風情がありながらも、一瞬の切なさが感じられるので、惹きこまれました。時代の流れを感じられるのも良いです。
甚夜が追っている鈴音の影があり、彼女は何を思っているのだろうか。
安政三年(1856年)の冬、江戸の町では銘酒「ゆきのなごり」が大流行していた。
相変わらず鬼退治の仕事をし続けていた甚夜は、この酒をめぐる事件に巻き込まれてしまう。
そして、その渦中、16年間行方知れずだった妹の影を発見するのだが……。
武士と夜鷹の恋物語、鬼の噂を追っている付喪神を使う男の登場、消えない過去との対峙――物語がさらに深まるシリーズ第3巻が文庫化!