羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

モノクロの夏に帰る

モノクロの夏に帰る (単行本)

 

戦争について、もう起こらないと平和ボケするのではなく、年代を超えて、戦争があったことを引き継いでいかないといけない。

今作は戦争時のモノクロ写真が様々な人に影響を与えていく。

各話の登場人物がそれぞれの立場から、戦争に触れていくことで考えが変わっていく様子は、現実にありそうなギリギリの感情を描いていて、ハッとさせられることが多かったです。

 

ロシアとウクライナの戦争が起きているように、現代でも起こり得る危うさに気づくべきというところ。遠い場所のことだと思っていたら、いずれ日本も…と考えなければならなくなる貴重なメッセージが詰まっていました。

 

アメリカ目線の原爆投下については背景を配慮しなければならない。

 

主張がハッキリしている作品なだけに、どこまで深入りするかの匙加減が絶妙でした。

 

海の向こうでは、戦争で毎日人が死んでいる。 でも遠くない将来日本からは、戦争を経験した人がいなくなる。 まだ若い僕たちは、この事実とどう向き合えばいいのだろう。 「僕は祖父の戦争体験を捏造したことがある」 戦時中のモノクロ写真をカラーにして掲載した『時をかける色彩』という写真集が刊行された。祖父母ですら戦争を知らない二十代の書店員がそれを店頭に並べたことで、やがて世界が変わり始める。保健室登校の中学生、ワーカホリックのテレビマン、アメリカから来た少年と、福島で生まれ育った高校生。遠い昔の話のはずだった「戦争」を近くに感じたとき、彼らの心は少しずつ動き出す。 平和を祈る気持ちが、小さな奇跡を呼ぶ。 読み終えたとき、少しだけ世界が優しく見える感動の青春小説。