羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

青空と逃げる

青空と逃げる (中公文庫)

 

傲慢と善良に登場したあちこちを放浪としている親子が主人公と知り、読みました。

なぜ、逃走することになったのか、徐々に明らかになる逃走の始まりを知ると芸能界、有象無象の悪意と追求が厄介でしかない。

スキャンダルを起こした人の家族が苦しむ話で終始重たい雰囲気が漂っている。

何も悪いことしてないのに逃げるようにあちこちで暮らしていかないといけない状況に歯痒くてイライラしてしまう。

それでも読む手が止まらないのは、早苗さんと力が放浪していく場所で出会う人の優しさや懐の深さが心に来るものがあったから。

困っている人がいたら助けられるのは当たり前のようでそうでないからこそ、胸を打つのだな。

 

逃走の果てに待ち受けていた結末には希望があって良かったです。

ただ、元凶になった出来事の裏側に早苗さんの夫に非がないのはやりきれない。

 

憶測で知った気になって誤った情報を流さないようにしたいとしみじみ思いました。

 

深夜、夫が交通事故に遭った。病院に駆けつけた早苗と息子の力は、そこで彼が誰の運転する車に乗っていたかを知らされる……。夫は何も語らぬまま、知らぬ間に退院し失踪。残された早苗と力に悪意と追及が押し寄せ、追い詰められた二人は東京を飛び出した。高知、兵庫、大分、仙台――。壊れてしまった家族がたどりつく場所は。<解説>早見和真