羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

ゴリラ裁判の日

ゴリラ裁判の日

タイトルが衝撃的ですが、中身はゴリラが言語を理解しているから起きる悩みや辛さの数々のことを描いていて、本質的には人と同じということ。愛した夫が殺されたローラの苦しさは人に伝わらないのがもどかしい。人から見れば動物の命と子供の命は平等ではない。だがローラからすればやりきれないのは確か。

ローラの生き方、環境、壁が立ちはだかることが多かったが、最後に救われたのにはグッときました。

ユニークな設定ですが、読み始めたら止まらなくなりました。

 

カメルーンで生まれたニシローランドゴリラ、名前はローズ。メス、というよりも女性といった方がいいだろう。ローズは人間に匹敵する知能を持ち、言葉を理解する。手話を使って人間と「会話」もできる。カメルーンで、オスゴリラと恋もし、破れる。厳しい自然の掟に巻き込まれ、大切な人も失う。運命に導かれ、ローズはアメリカの動物園で暮らすようになった。政治的なかけひきがいろいろあったようだが、ローズは意に介さない。動物園で出会ったゴリラと愛を育み、夫婦の関係にもなる。順風満帆のはずだった――。
その夫が、檻に侵入した4歳の人間の子どもを助けるためにという理由で、銃で殺されてしまう。なぜ? どうして麻酔銃を使わなかったの? 人間の命を救うために、ゴリラは殺してもいいの? だめだ、どうしても許せない! ローズは、夫のために、自分のために、正義のために、人間に対して、裁判で闘いを挑む! アメリカで激しい議論をまきおこした「ハランベ事件」をモチーフとして生み出された感動巨編。第64回メフィスト賞満場一致の受賞作。