羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

ある男

ある男 (文春文庫 ひ 19-3)

 

映画を観てから読んだので、違いを意識しすぎたかもしれない。それだけ、映画が素晴らし過ぎた。

戸籍を変えてでも人生を生きたいと思った、ある男とある男を追った城戸の人生というのが重く響いてきます。

ある男と結婚した里枝と子供が、真実は何なのか不安になりながらも、強く逞しく生きるようになっていったのは救われます。

幸せな結婚生活を送れたのだと、感じられます。

逆に城戸に関しては幸せそうに見えながらも、実は…みたいな具合で今後どう生きるのか心配である。

 

家庭、環境、生きるために必要な当たり前の支援、家族関係がないと道に迷ってしまう人もいるのだと痛感させられます。

真っ当に生きるのって当たり前ではないんだなと。

 

弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。
ところがある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に、「大祐」が全くの別人だという衝撃の事実がもたらされる……。

愛にとって過去とは何か? 幼少期に深い傷を負っても、人は愛にたどりつけるのか?
「ある男」を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。