羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

完全なる白銀

完全なる白銀

 

最高の読後感でした。

かつて、夢を誓った女性・リタは山に夢を見て、山に消えた。消えたリタの真意を確かめるために山に登る緑里とリタの妹・シーラ。

消えたリタのことで、揉める2人。

今と過去が交差していき、葛藤や衝突をしながらも山に登っていきながらも、アクシデントがあり、そこで絆を深めあえるのが良い。また、登山の緊迫感と臨場感がよく伝わってきて、読んでるこちら側もハラハラしました。

緑里とシーラの掘り下げが合間に入り、ミステリや青春としてだけでなく、人生を生き抜くための覚悟も描かれていて、力が湧いてくるようでしたら。

頂きで何を見るのか。最後まで釘付けにされました。

緑里とリタの出会いは尊いものがありました。

 

作品全体的に登山、山、自然に対しての敬意が表れていました。

読み応え抜群の物語でした。

 

山岳×青春×ミステリ、最大級の感動作

写真家として活動する藤谷緑里はアラスカに向かっていた。シーラと北米最高峰デナリに挑むためだ。
緑里とシーラの旧友、リタ・ウルラクは新鋭の女性登山家として名を馳せていた。リタとシーラの故郷、サウニケは北極海に面した小さな島だが、90年代後半から地球温暖化の影響で海に浸食されている。このままでは島は海に沈む――そんな故郷の危機を世界に知らしめる。それがリタが登山家として名を上げようとした理由だった。だがリタは冬季デナリ単独行に挑み、下山途中に消息を絶ってしまう。頂上から「完全なる白銀」を見た――という言葉を残して。
行方不明となったあと、リタの言動を疑ったマスコミは彼女を<冬の女王>ではなく<詐称の女王>と書き立てた。緑里とシーラは、リタが登頂した証を求めるべくデナリに挑むことに。だが世界最難関の山への登攀は、一筋縄にはいかない。ブリザード、霧、荷物の遺失、高度障害……二人の信頼関係も揺らぐ。さまざまな困難を乗り越え、北米大陸で最も高い地へ手を伸ばす緑里。その先に見えたものとは。
極限の高地だけでなく、社会でも闘う女性たちを描きだす、気鋭の著者の新境地。