中川夏紀を語り手にして、北宇治の吹奏楽部時代を振り返らせるのは上手いなと。
俯瞰している彼女だからこその視点で物事を捉えていて、人は一面だけでなく、様々な顔を持つのが分かる。
そして、中川夏紀の目が見る世界は複雑だなと。フラットな彼女が高校生活を振り返り、希実、みぞれ、優子との関係に対して思いを馳せる流れは見事でした。
視点が変われば、また違う感情が見えるんだろうな。
斜に構えているようで、素直な夏紀のことを分かっている優子との関係は良いなと。夏紀や友達の良さが伝わってきました。
無事に飛び立つ少女達に安心しました。
北宇治高校三年、中川夏紀。
私は今日、吹奏楽部を引退した――。
傘木希美、鎧塚みぞれ、そして吉川優子。
四人で過ごした、最高にいとおしくて、最高に誇らしかったあの日々――。