羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

鏡の国

鏡の国

岡崎琢磨先生の最新作は最高傑作でした。

読み応えあり、驚きあり、反転あり、読む前から種を明かそうと注意してましたが無理でしたー 

作中作品というのを忘れてしまいそうになるくらい練られている。だから終盤に明かされる反転の際の細やかな伏線配置に丁寧さを感じる。気づかぬところにひょいと種を撒いていて、種が育った時にはもう遅い。ミステリの技巧が冴え渡っていました。

社会的問題、病気、メッセージ性をはらみながらもまとめきって、了までいけたことにエールを送りたい。素晴らしかった。

 

人それぞれ悩みがあって、それを雑に括るのはいけない。表面に見えない精神の悩みは慎重にいかないとね。

 

人は自分と向き合いながら生きていくしかない。

大御所ミステリー作家・室見響子の遺稿が見つかった。
それは彼女が小説家になる前に書いた『鏡の国』という私小説を、死の直前に手直ししたものだった。
「室見響子、最後の本」として出版の準備が進んでいたところ、担当編集者が著作権継承者である響子の姪に、突然こう告げる。
「『鏡の国』には、削除されたエピソードがあると思います」――。

削除されたパートは実在するのか、だとしたらなぜ響子はそのシーンを「削除」したのか、そもそも彼女は何のためにこの原稿を書いたのか……その答えが明かされた時、驚愕の真実が浮かび上がる。