羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

ヒート

ヒート (実業之日本社文庫)

厚い一冊だが、マラソンが好きな人は是非読んで欲しいと思う作品でした。

世界最高記録を作るためのマラソン大会を開く。そのためには手段を選ばないのはいっそ清々しさがある。まさか、記録を出してもらうために走りやすい道や風除け、タイム表示など過保護とも言える準備をしていて、政治的背景や事情がプンプンです。

だからこそ、アスリート目線だと傲慢キャラだけど記録に向き合う山城の嫌がる気持ちや苛立ちも少し分かる。これは賛否分かれるなぁ。

山城の引き立て役として利用される、燻っている現役ランナーの甲本の不憫さよ。

記録が伸びない葛藤や苦しみ、恩師への引け目、辛過ぎる。しかし、そこから自分のペースメーカーの役割を必死なこなして自分のために走る様子に惹きつけられました。努力家は応援したくなるんだよ。泣

そして、エピローグが気になり過ぎる!

 

最後に勝つのは誰なのか――!?
公務員の苦闘と、白熱の42.195km

日本男子マラソンの長期低迷傾向に歯止めをかけるため新設された「東海道ラソン」。
神奈川県知事の号令のもと、県庁職員の音無太志は、日本陸上界の至宝・山城悟の
ペースメーカーとして、孤独なランナー・甲本剛に白羽の矢を立てる。
甲本はかつてハーフマラソン日本記録を持っていた「30キロまでの男」。
所属していた実業団が解散し、母校のグラウンドを借りて練習する身だ。
ペースメーカーになることを渋る甲本に、音無は破格の条件を提示するが――。

果たして世界最高記録達成はなるのか。数多の人間の欲望と情熱を乗せたレースは、まさかの展開に――。
箱根駅伝を走る学連選抜チームの激走を描いたベストセラー・『チーム』の“その先"の物語。
疾走感あふれるレース描写と、男たちの人間ドラマに一気読み必至。[解説/ 池上冬樹]