羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

実業之日本社

チームⅢ 堂場瞬一スポーツ小説コレクション

スポーツ小説でエリートランナーの引退後を描くのは珍しいかな。 山城が現役引退して、実家で働いているところにコーチの依頼が来るという流れ。燻っているランナーの尻叩きとして期待されるわけだが、まぁ初めから引き受けないよな笑 浦達が色々画策してい…

チームⅡ

ヒートの続き。甲本とのデッドヒートを制した山城に待っていたのは故障だった。天才、才能溢れる彼だからこそ無縁だったリハビリや調整に苦労するのは無理ない。走れて当たり前だった生活から一変して、故障に苛まれ苦悩する様子は歯痒い。そんな時に所属チ…

ヒート

厚い一冊だが、マラソンが好きな人は是非読んで欲しいと思う作品でした。 世界最高記録を作るためのマラソン大会を開く。そのためには手段を選ばないのはいっそ清々しさがある。まさか、記録を出してもらうために走りやすい道や風除け、タイム表示など過保護…

午後のチャイムが鳴るまでは

阿津川先生の新作はユーモア溢れる青春ミステリ。 読み終えたら、あぁ!と繋がりに気づき、満足して読み終えられる短編集でした。馬鹿なことに夢中になれる高校生の時間は貴重なものです。各話の謎に至るまでの伏線がしっかり張られていて、読者としても考え…

チーム

駅伝小説はやはり熱くなる。 箱根駅伝に参加出来なかった大学から選ばれる学連選抜チームにスポットを当てた作品。自分の大学は出られないのに自分は走っていいのか。もう競技を引退するのにどんな気持ちで走ればいいのか。それぞれの悩みがあり、その悩みと…

拝啓 交換殺人の候

タイトルに惹かれて読みました。 まさか、交換殺人を企てる2人の交流に心温まるという不思議な読後感を得られるとは。交換殺人を成長に使う方法があるなんて、思いもしませんでした。 追い詰められ青年と女性が手紙の交換から始まり、互いの殺して欲しい相…

弊社は買収されました!

タイトルにインパクトがありますが、中身はお仕事モノで買収された側の社員の実情を描かれていて堅実な作品だなと。 タイトルの通り、日本企業が外資系企業に買収される。それは予告なく訪れて混乱する社員達。社会人ならば心あたりある会社の悪い部分が炙…

硝子の塔の殺人

何で今まで読んでなかったんだと悔いたくなるくらい面白かったです。 知念先生の作品をあまり読んでなく、スルーしてた自分を呪いたくなるくらい、素晴らしいミステリー作品でした。 本格ミステリーを好きな方には刺激があり、あまり詳しくない人は今作を読…

フーガはユーガ 文庫

優我と風我。双子には誕生日にだけ起きることがある。 それは意識が入れ替わるということ。 恵まれない家庭環境で、その特別な能力があったから、2人で生き延びれた。 入れ替わりは地味で使い方が難しいと思っていたが、柔軟な発想で効果的に使っていて上手…

廃遊園地の殺人

斜線堂有紀先生は作品を生み出す速さもさることながら、特殊な設定を用いて面白い作品を出すのが凄い。 今回はタイトルからして不気味で、何がやってくれるんじゃないかと予感しましたが、やはりタイトルに込められている通りでした。 プレオープンの遊園地…

負けるための甲子園

タイトルとあらすじから感じ取れる怪しげな空気に惹かれて読みました。 甲子園で負けることを目標にする不純さや後ろめたい気持ちが出てきますが、しっかり理由が描かれていて負けるために甲子園に行くことに納得しました。 勝つために行くのが普通だと思う…

向日葵を手折る

作者の別作品を読み、気になる作家さんだなと思ってたら新作が出ていたので読みました。 率直にいうと辛さや痛みを感じつつ幸せに包まれる読後感でした。 辛い、痛い、というのは登場人物の綺麗な内面と汚い面が見事に描かれていたからだと思う。 主人公の…

名探偵誕生

似鳥先生の作品にしてはとんでもないのがブッ込まれてないのに驚き。真っ直ぐな初恋物語としても楽しめるし、ミステリーも味わえる良い作品でした。主人公・星川瑞人こと、みーちゃんが小学校から大学生になるまでの過程の中で、近隣に住む好きな相手・千歳…