羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)


タイトルと表紙だけで面白そうだと思ったら、その通りだった。

劣悪な家庭環境で育った少年,江都は身体が金塊に変わる女性・弥子と出会う。

この物語は始めから決まっていたのかなと読み終えたら思いました。

どんどん、身体の一部が無くなっていく弥子に凹み江都。江都は弥子のために何が出来るのか、悩んで、苦しんで、そして、決断する。それは周りの人は信じられないかもしれないが、江都と弥子の微かな希望なんだ。この導き出した正解は正解だ。


人間のエゴや江都、弥子の苦しさを考えると深い深い海の底から引っ張られるような展開だったように思います。



この結末は解釈が別れるだろうが、この結末じゃないと嫌だと思った。

掟上今日子の挑戦状 文庫版

掟上今日子の挑戦状 (講談社文庫)


今回はアリバイ、密室、ダイイングメッセージを題材にした中編一本、短編二本が収録。


1話目のアリバイは犯人目線が多めだったけど、動機が予想の斜め上を狙ったもので、まんまと騙された。ぐぬぬ


2話目の密室はよくよく考えていくと分かったのかなと。ただ、今日子さんの金に対するスタンスやうっかり犯人が分かってしまうのが微笑ましい。


3話目のダイイングメッセージはよくある警察の仕掛けに犯人が引っかかる。今日子さんの最後の台詞はまさにそうだよなと。

天気の子

小説 天気の子 (角川文庫)


本日、映画を観て、その熱が冷めないうちに読みました。

大体は映画通りになっていて、頭の中でそうだよ、こんな感じだと思いながら読めました。そして、小説ならではの内心の描写が光っていて、映画で気になった部分は少し補正出来ました。


最初は明るい話かと思いきや、力には代償があるということで、少年・帆高と少女・陽菜は選択しなければならない。その選択の結果はエゴとも言えるものかもしれないが、2人の間で起きた日常を考えるとこの選択は素晴らしいものだったと思う。作者が賛否あるとはなから気持ちくくっていた分、胸に刺さる結末になっていた。



映画観て原作読んでも良いし、反対でも良い。

この2019年の夏、多くの人に読んでほしい作品です。

響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 後編

響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 後編 (宝島社文庫)


二年生編の下巻。

様々な問題を抱えながらも、大会へ。

新一年が加わり、明らかに前年より上回った演奏だった。だけど、足りなかった。新しく優子が部長になり、少しずつ守りに入っていた。それは確かに、伏線は張られていた。ただ認識が甘かった。作者はなんていたずらをするんだと思う。久美子たちの悔しさが読者に伝わってきました。

全国はそんな甘いものではない、それが分かって迎える三年生編。

遂に久美子が部長になり、部を引っ張る。これ以上ない盛り上がりが予想される三年生編を読むのが楽しみで仕方ない!



目指せ、全国金賞!

響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編

響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編 (宝島社文庫)


誓いのフィナーレを見たら早く読みたいと思っていた二年生編。

結構厚いが、内容がギッシリ詰まっていて、あっという間に読めます。


久美子が二年生になり、1年の指導係になったのでくせ者の1年の悩みに向き合わないといけなくなる。あすか先輩の影響を受けつつ、成長した久美子だからこそ、1年を導いていて、作中の時の流れを感じます。

そして、付き合ってる秀一とイチャイチャ。しかし、半年経ってもキスは駄目なのは硬派すぎるだろう笑


リズと青い鳥の要素があり、様々な人物の想いが混ざり合っていて、まさに波乱の二年生編ですね。


新一年の美玲の悩みは部活あるあるすぎる…

響け!ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌

響け! ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌 (宝島社文庫)


定期演奏会と合同演奏会の短編二本とガイドブックが収録されている、一冊。

定期演奏会の話では、久美子が葉月の隠した気持ちを拾ってあげるのは優しいな。なんでもそうだけど、初心者の好きを否定したくない。

・合同演奏会だと、昔からの知り合いの梓が久美子が思っていたより成長していて、驚き。それ以上に麗奈に匹敵するくらい上手くなってて、歯痒い気持ちになる久美子。麗奈の隣は特別で、並ぼうともしなかったが、隣に立つと覚悟を決めた久美子が良いですね。

・ガイドブックは吹奏楽の知識が足りない自分にとっては助かりました。


全体的に満足することが出来ました。

あと、あすか先輩と香織先輩の関係性は30代くらいだと思いました笑

少女妄想中

少女妄想中。 (メディアワークス文庫)


入間人間先生の作品は合う合わないがハッキリ分かれるんですが、今作は肌に合いました。圧倒的な百合。男子禁制の花園みたいで読んでいて、ドキドキしました。

短編なんですけど、色々繋がりがあり、最後に読者を飲み込むような感情の渦が巻き起こりました。


1番は「君を見つめて」ですね。

女子高生と叔母の背徳感のある関係はゾクゾクします。


絵師はやがて君になるの仲谷さんで、素晴らしい絵でした。



やがて君になるのスピンオフの布石はこの時に打たれていたのか。