(あらすじ)
彼女は死んだ。そして僕らは、出会った。ねーねーねー。高校三年生の朝は、意外な声に遮られた。狸寝入りを決め込む僕に話しかけてきた同級生、白波瀬巳緒。そして、隣の席の、綺麗な声が耳に残る少女、御堂楓。留年し、居場所がないと思った学校のはずなのに、気づけば僕の周りに輪ができていく。胸はまだ、痛む。あの笑顔を思い出す。でも、彼女の歌声が響く。ほんのり温かいユーモアと切なさが心を打つ、最旬青春小説。
タイトルのインパクトに驚き、中身がどうなってるのか非常に気になった今作。
帯裏の河野裕先生の推薦文もかなり作品の重要なところを指していました。
最初の主人公・晃と彼女・砂羽のピロトークのまま進めば幸せだったんだろう。しかし、砂羽は死んでしまう。
置いていかれて、空っぽの晃がクラスメイト達と以前のようにバンド活動やたわいもないふざけ合いをして、再び前に歩きだすというもの。みんな空気を読むのではなく、自身の意思を持っているのが良い関係を生んでいました。
彼女であった砂羽が作品の鍵を握っていて、彼女の苦しみや願いが随所に込められていて、胸に刺さる。
晃の傷もクラスメイトである、御堂、白波瀬、和久井、旧友の藤田が時間をかけて、埋めていくんだろうな。
周囲に流れに逆らう生き方をした、晃達のバンド活動やライブは本当に眩しくて堪りませんでした。
最後に晃が籠から解き放たれたようで感動しました。
登場してくる人、みんな良い人ばかりで作品全体が素敵な雰囲気に包まれていました。
タイトルは他になかったのかと思ってましたが、とても素晴らしい作品でした。
敬遠せずに読んでほしい作品でした。