タイトルと表紙から漂う名作臭がたまらないですね。
期待してた分、どうなるかと思いましたが、見事に期待を裏切ってくれて素晴らしいどころではなく最初から最後まで惹きつけられました。
主人公の有馬悠人が記憶喪失の幽霊・レイナと出会って、変わっていく。
自分の気持ちを押さえ込んで生きていた悠人が天真爛漫なレイナに背中を押されて、嫌われても自分の思っていることを吐き出せるようになり、周りからも人が寄ってくるようになるのは良いことだ。周りやその場の空気に合わせているだけでは個性が死んでしまう。
クラスメイトとぶつかり合いながら成長していく悠人だが、レイナに問題が起きていた。
レイナの問題は悠人の過去が関係していて、中盤から一転してシリアスへ。
悠人が自分の気持ちを押さえ込むことになった原因やレイナが幽霊になった原因、レイナが悠人に取り憑いていた理由が繋がっていたのは見事な構成でやるせなさを感じます。
ただ、そこで立ち止まらずに、レイナの切ない過去が明かされてからの悠人の奮闘には胸が熱くなりました。
最後の悠人とレイナが幸せを手繰り寄せようと想いを告げる最後は心に響きました。
1冊で様々な感情を味わえて素敵な作品でした。
1度読んだら印象に残る作品になりました。
読み終えてタイトルを見るとまさに作品の切ない心が映し出されているようで、良いタイトルだなと。
これは、好きだと言えないよ。
(あらすじ)
夏の終わり。人付き合いが苦手な僕の前に現れたのは、記憶喪失の幽霊、レイナだった。レイナに取り憑かれた僕は、彼女を成仏させるため、記憶を取り戻す手助けをすることになった。
けれど、天真爛漫でお節介なレイナの存在は、僕の日常を大きく変えていき、そして僕の心さえも奪ってしまった。だけどこの気持ちは絶対に伝えることはできない。レイナの死の真相と彼女の後悔を知ってしまったから……。
後悔と一途さと失われた記憶が紡ぐ、”7つ”の好きだと言えない理由。大切だからこそ、伝えられない想いがある。ほろ苦くて、ちょっぴり泣ける青春ラブストーリー。
――それでも、好きだと言えない。