まず、圧倒的な面白さでした。
無辜の裁判という学生同士で行う裁判で序盤は軽く見せて、有望な友人の身に起きた事件でがらりと雰囲気を変わりました。
主要人物の3人の同級生が弁護士、被告、被害者となり今まで見ていたものはそれぞれ違ったんだなと。
亡くなった友人が秘めていた想いや計画が明かされる終盤の怒涛の種明かしにはページをめくるのに胸に痛みを感じるくらい痛烈なものでした。天才過ぎるでしょ…
そして、被告の子の本音や弁護士の覚悟にも胸が打たれました。
中盤までは伏線の張り方が優しいなと思っていたが、とんでもない。
全ては作者の手のひらの上で踊らされました。
無罪の人を救うために行った友人の策略はとんでもなく繊細で大胆な方法でした。
この作品を読んで、罪を犯した人の罪の向き合い方や罰を下すとはなんと重いことがどれだけ辛いのかが伝わってきました。
是非多くの人に読んでもらいたい作品でした。
内容はあまり話したくない。とにかく読んで欲しいと思うミステリーです。
次回作も決まっているようで追っていきたい作家ですね。
(あらすじ)
法曹の道を目指してロースクールに通う、久我清義と織本美鈴。二人の過去を告発する差出人不明の手紙をきっかけに、不可解な事件が続く。清義が相談を持ち掛けたのは、異端の天才ロースクール生・結城馨。真相を追う三人だったが、それぞれの道は思わぬ方向に分岐して――?