刑事小説、ミステリーとしての定石をとことん崩していき、楽しく描かれているように感じました。
タイトル通り、富豪刑事こと神戸が金を様々な用途で使い込み、事件を解決へ導いていくもの。事件の解決方法が様々で、惹かれていきました。
金で強引に展開を引っ張るだけでは飽きられる恐れがあるが、今作はそうならなかった。
神戸は事件の解決にただ真っ直ぐに向き合っていて、シンプルな方法として金を利用しているだけで悪気や傲慢さから来るものではないので、読み終わった後は不思議と爽快な気持ちになります。
事件を解決する富豪の刑事がコンセプトなので、その他の部分は気持ちいいくらいばっさりカットしていたりして遊び心がたくさん詰められていて、楽しい作品でした。
(あらすじ)
キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくゆらせた“富豪刑事"こと神戸大助が、迷宮入り寸前の五億円強奪事件を、密室殺人事件を、誘拐事件を……次々と解決してゆく。金を湯水のように使って。靴底をすり減らして聞き込みに歩く“刑事もの"の常識を逆転し、この世で万能の金の魔力を巧みに使ったさまざまなトリックを構成。SFの鬼才がまったく新しいミステリーに挑戦した傑作。