ミステリーとして倫理的に事件の真相に迫っていく過程にある議論がどの話も魅力的でした。
各話の軸になる謎自体も最後まで読まないとわからないようになっていて読む手が止まらないですね。いったいどんな真相か気になって仕方ないです。疑問から解決までの思考の発展の仕方が大胆なようで違和感がないのは凄かったです。
各話解けた時は様々な余韻があり、後に残るものばかりでした。
各話登場していく人物達に味があり、話に入りやすかったです。特に女子高生が主役の時計じかけの小鳥とアリバイ・ジ・アンビバレンスは謎も良いが、何より話の畳みかたと心理が素晴らしくて何度も読みたくなる完成度でした。
初めて西澤先生の作品を読みましたが、ハマったので先生の他作品も読んでいこうと思います。
高校の同窓会に出席する予定の小説家・日能は、幹事から衝撃の事実を聞く。ずっと亡くなったと思っていたクラスメイトが、実は生きていたのだ。何をどう勘違いしてそう捉えていたのか、訝しみながら同窓会当日を迎えると、さらに謎は深まるばかりで……「蓮華の花」。数年ぶりに訪れた書店で購入した文庫本に、謎のメッセージが挟まれており、そこから小学生時代のある出来事に結びつく「時計じかけの小鳥」。都筑道夫の代表作〈退職刑事〉シリーズのパスティーシュ、「贋作『退職刑事』」など、論理的な謎解きに徹底的にこだわった、全六編を収録。