下巻。
上巻から気になっていた部分が中盤前くらいで疑問は解けて、どうするのかと思ったら、大人しそうな節子の冷静な一面にドキッとしました。とはいえ、話してわがだまりなく旅を終えてホッとしました。
今作は様々な謎と題して、登場人物の深層心理と向き合っていく。
その過程にはそれぞれ理由があり、人生があり、各章が終わるごとにスッキリしていく様子は見事でした。
蒔生にはおいおいと思わないではないが、無事に帰れそうで何より。
梶原憂理の謎については、揺さぶられるものがありました。
雨の音を聞きながら、静かな森の中を進んでいく大学時代の同窓生たち。元恋人も含む四人の関係は、何気ない会話にも微妙な陰翳をにじませる。一人芝居を披露したあと永遠に姿を消した憂理は既に死んでいた。全員を巻き込んだ一夜の真相とは?太古の杉に伝説の桜の木。巨樹の森で展開する渾身の最高長編。