買う予定ではありませんが表紙、タイトル、あらすじに惹かれて読みました。
女子中学生惨殺事件の暴露本が発売するということで書店、出版業界、また世論が揺れ動く。
惨殺事件の関係者は世の中の好奇心に悩まされるが、主人公の正和は犯人とは違い位置にいたということで苦しむ。
なぜ、暴露本を出すことになったのか、暴露本や犯人の動画の違和感、雑誌記者が残したメッセージなと、話が進んでいくうちにスリルが高まっていくのが伝わってきました。
少しずつ明かされていく事実から罪にたどり着くまでの展開は絶妙でした。
気になって気になって仕方なかった。
ただ、肝心の二つの罪は想像出来る範疇に収まっていて、状況的に仕方ないのでは?と思ってしまいました。
とはいえ罪が明かされて、周りの人達の背景が見えて、罪を償う必要性や償う方法などは胸に突き刺さりました。
事件だけでも読ませる内容でしたが、あいだに描かれていた書店や出版社の売り上げ至上主義やそこで働く人の悩みや葛藤もあり、そちらの点でも読んで良かったなと思いました。
売れるけど売りたくないものはあるよな。
書店のあり方も店舗ごとですが、良い本屋が続いていきますように。
書店員の椎野正和は、ある朝届いた積荷の中に、少年犯罪者の告白本があるのを知って驚く。それは、女子中学生が惨殺され、通っている中学に放置された事件で、正和の同級生の友人が起こしたものだった。しかも正和は、犯人の共犯と疑われてしまい、無実が証明された後も、いわれなき中傷を受けたことがあったのだ。書店業界が「売るべきか売らないべきか」と騒然とする中、その本を読んだ正和は、ある違和感を覚えるのだが……。
出版・書店業界の裏事情を巧みに盛り込んだ、著者渾身の長編小説。