羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

辰巳センセイの文学教室 上 「羅生門」と炎上姫

辰巳センセイの文学教室 上 「羅生門」と炎上姫 (宝島社文庫)

 

表紙の雰囲気、帯、あらすじに惹かれて衝動買いしました。

青春、文学、ミステリー、それぞれの要素が損なうことなく、それどころか重なり合って魅力的な作品でした。

自分の好きな要素が詰まっているからよりハマってしまいました。

学生の未熟な心や間違いが文学と結びついていて、固まった悩みが解けていくような読み味が素晴らしいです。

先生が主人公だから、大人視点で学生を見れていて、かつ諭すような形で事件を収めるので安心感があります。綺麗な展開の畳み方をしているので、物語に入り込めます。

学生という多感な時期だからこそ、心揺さぶられる読書経験や出来事は大事にした方が良いんだなとしみじみ思いました。

 

辰巳センセイと円城の年の差恋愛も背徳感があると同時に先生と教え子という壁や外部的問題、2人の気持ちの間にも僅かな溝があり、行き先が必見です。2人が仲良くなった出来事が描かれているからこそ、引き立つものがありました。

 

上下巻の上巻とはいえ、下巻への引きはかなり強めです。

上巻読んだら下巻が気になって仕方なくなります。

 

 

辰巳祐司は国語科のセンセイ。ゆえに言葉で、こじれた心と謎を解く。彼は校内の階段で負傷した女生徒を見つける。彼女はなんらかのトラブルに巻き込まれて階段から落ちてしまったようだが……。
事情を調べていくうちに見えてくる、複雑な恋愛模様や家庭事情。それはどこか、森鴎外の『舞姫』のストーリーと重なっていく。
教科書に載っている日本の名作文学と高校生活がリンクする青春恋愛ミステリー。