伊坂幸太郎先生は作風を固定しないが、今作は良い意味で宙に浮くような雰囲気で素敵でした。
連作短編集は繋がりを感じると良いなと思うが、今作はあえて繋がないという書き方をしていて独特なぶつ切り場面があって、不思議な気分でした。
うっすらと繋がっている部分はあって、頬が緩みます。
黒澤さんの淡々と生きていながらも、人を見る目は確かなのがまた素晴らしい。ちょっとしたユーモアもあって、そんな彼が起こす行動から目が離せません。
首折り男と濡れ衣など、どう表していいのか分からないが、魅力に感じました。最後の合コンで構成力が凄いなと。
各話、切り口が様々で着地点が読めないワクワク感がありました。
被害者は一瞬で首を捻られ、殺された。殺し屋の名は、首折り男。テレビ番組の報道を見て、隣人の“彼”が犯人ではないか、と疑う老夫婦。いじめに遭う中学生は“彼”に助けられ、幹事が欠席した合コンの席では首折り殺人が話題に上る。一方で泥棒・黒澤は恋路の調査に盗みの依頼と大忙し。二人の男を軸に物語は絡み、繋がり、やがて驚きへと至る!伊坂幸太郎の神髄、ここにあり。