羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

すみれ荘ファミリア

すみれ荘ファミリア (講談社タイガ)

 

迷える大人達が自分の行く道を決めていくのに救いを感じました。

世の中や周りに流されない場所、すみれ荘に住む住人の裏側が見えて、それがまた切実な気持ちが孕んでいて心に突き刺さってきます。

それぞれが抱えている問題は現実にもありそうで、当たり前の主張なんだけど、当たり前が通らない世の中だからこそ、効いてくるものがありました。

日常でぶつかることがあっても、自分が折れれば場は収まるけど内心は違うよね。自分が嫌なら戦っても良い。背中を押してもらえる話でした。

終盤にちょっと事件がありましたが、そこ以外は大きな出来事はなかったが、心の揺らぎや心理描写で物語に引き込む作者の腕が素晴らしかったです。

 

男と女、友人、親子、様々な枠組みに囚われない生き方が出来たら素敵だなと思いました。

 

愛は美しいとは限らなくて、綺麗な部分や綺麗ではない、それぞれの面が見れました。

 

愛ゆえに、人は。

『流浪の月』『滅びの前のシャングリラ』本屋大賞受賞&二年連続ノミネートの著者が描く、家族の物語。

すみれ荘のその後を描く「表面張力」を収録した完全版。

下宿すみれ荘の管理人を務める一悟は、気心知れた入居者たちと慎ましやかな日々を送っていた。そこに、芥と名乗る小説家の男が引っ越してくる。彼は幼いころに生き別れた弟のようだが、なぜか正体を明かさない。真っ直ぐで言葉を飾らない芥と時を過ごすうち、周囲の人々の秘密と思わぬ一面が露わになっていく。
愛は毒か、それとも救いか。本屋大賞受賞作家が紡ぐ家族の物語。