羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

高校事変 IV

高校事変 IV (角川文庫)

 

今回は優莉の弟の出番から始まり、ミステリ風味が強めの出だしでしたが、優莉があっさり真相にたどり着くのは笑うしかない。

やり方も相変わらず強引だが、弟への情が溢れるあたり、優莉の優しさが見えました。

 

事件の更に裏側に迫るために半グレ集団のなかに突っ込んでいき、優莉からしたら予想外のハプニングがあり1巻と同様なシチュエーションに陥ってしまう。ただ、別ルートを読めたようで嬉しかったです。

半グレ、在日、火災、裏取引等をテーマにしつつ、優莉の機微を描いていました。

雑な扱いをされる子供たちを支える反面、独親達に怒りをぶつけたりと感情の揺れ幅が大きかったのは印象的でした。

 

ところどころで、共感はいらないと思っているが本心の裏返しのようにも思えてくる。憎い父と意に反して近づいている優莉がどう生きていくのか。

指導者にはなってほしくないが、どうなるかな。

優莉のそばにいると信じてしまうのは宗教にも近くて危険な気もするが、ピンチを共に過ごすと信じたくなりますよねぇ。

 

また、1巻の裏側が見えて、まだ終わってないのだなと思い知りました。

 

戦闘の動きは当然だが、台詞も切れ味鋭いのが好きになってしまうんだよな。

 

武蔵小杉高校事変の謎、衝撃の真相が明らかに。

スキー場に向かう中学生たちを乗せたバスが新潟県の山中で転落事故を起こした。
現場近くに不可解な痕跡が残されていたことから、警視庁公安部は半グレ連合の元リーダーを父に持つ優莉結衣への監視をいっそう強める。
結衣は過酷な幼少期をともに生き抜いた弟の汚名をそそぐため、かつて父の組織と敵対していた半グレ集団「パグェ」のアジトに乗り込む。
恐怖と暴力が支配する夜の校舎で、強大な敵との命をかけた戦いが始まる。