羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

夏のレプリカ

夏のレプリカ REPLACEABLE SUMMER S&Mシリーズ (講談社文庫)

 

前巻の裏側の物語。萌絵の友人、杜萌にスポットが当たっていて、彼女の悩みには揺さぶられるものがありました。

萌絵も犀川先生に見せる顔ではなく、友人に見せる顔があり、それは珍しく見えました。

 

読み終えて、タイトルの意味と表紙の意味に連動して気づけて、もう駄目だ。

精神がぼこぼこだよ…

辛いし、切ない。

よくも思いついたなと。

トリックというよりは萌絵と杜萌の心と心がぶつかり合うチェス対決の末にたどり着いた景色が美し過ぎた。

事件の真相に関しては明かされてから込み上げてくる感情に戸惑いながらも、これが真実かと受け入れていくのが大変でした。こうきたか。

 

嘘だと言いたくなるが、犀川先生の言葉が目を覚ましてくれる。

 

謎は少し残っているが、全てが明らかになる必要は無いのだなと。

 

 

封印された夏の日の記憶!
眩い夏、不可解な誘拐事件、蘇る過去
真実は、偶数章だけで明かされる。

T大学大学院生の簑沢杜萌(みのさわともえ)は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧(もうろう)とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは?『幻惑と死と使途』と同時期に起こった事件を描く。