羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

世界が青くなったら

世界が青くなったら

 

青春小説を書くのが上手い武田彩乃先生の新作は大人を登場人物にして、ファンタジー要素を加えていて、今までの作品とは違う読み味でした。

ある日、主人公・佳奈の恋人が世界から痕跡が消えた。どういうことか突き止めるために動く。謎を追ううちに成り行きで特殊な店でアルバイトすることに。

今までよりも、落ち着いた雰囲気があって、1話1話のエピソードがグッときました。

登場人物の願いと秘めた事情が繋がるのでストンと胸に落ちました。

 

お客さん達の依頼をこなしていくうちにたどり着いた真実には切ないものが含んでいたが、受け入れた佳奈の姿勢が素晴らしかったです。

佳奈と消えた恋人・亮の間に起きた不可思議な現象の真相は大分ヒントがありましたが、それでも胸にぐさっときました。

伏線が綺麗に繋がっていく終盤は物語の畳み方が綺麗でした。

 

今作はIFをテーマにしていて、現実では起こり得ないことをやっているからこそ、起きた奇跡の数々に意味を感じられました。

 

 

もし朝起きたとき、大切な人が消えていたら?
もしあの時、別の決断をしていたら?
もしもう二度と会えないと思っていた人と会うことができたら?
人生で誰もが出会う〈if〉を問いかける物語

ある朝仲内佳奈が目を覚ますと、彼氏の坂橋亮が世界から消えていた……
LINEに履歴はないし、電話帳の中の番号もなくなっている。不安になって亮のマンションに行ってみるが、亮の部屋はずっと空室だという。親友に亮の話をしても「そんな人には会ったことがない」と言われてしまう。
自分の頭がおかしくなってしまったのか、それとも世界の方が壊れてしまったのか? 佳奈は混乱しながらも、亮の手がかりを探し始める――