帯に書かれているレビューがなければなんにも買えないというフレーズが胸に突き刺さってきます。
自分のことなのに他人の評価が気になってしまうのは、自分の中で自分を信じ切れてない部分があるからかな。
人は友人、思い出、趣味、親、評価、不意の衝動に縋りたくなっている。だが縋ったままでは変わらないから一歩踏み出さないといけない。その一歩を踏み出すまでの心情が抜群で、各話に登場する人物が暗闇から抜け出した後の見える世界が素敵なものだと予感出来る感覚が魅力でした。
自分が信じれるものを自分で見つけたら、そこからは違った人生を生きていける勇気を与えられる物語で素晴らしいです。
何か迷っている人はこの作品を読んでみてはどうだろうか。
いつからか、レビューがなければ何も選べなくなってしまった――。離婚して実家に戻った恵美は、母の介護を頼んでいるホームヘルパー・依田の悪い噂を耳にする。細やかで明るい彼女を信頼していたが、やっぱり見る目がなかったのだろうか。十歳のときに買った浴衣、二十九歳で決めた結婚。母の意見に従わなかった決断は、どちらも失敗だった。今こそ母に依田をジャッジしてほしい。けれど母の記憶と認識は、日増しに衰えている。思い悩む恵美に、母が転んで怪我をしたと依田から連絡が入り……(表題作「五つ星をつけてよ」)。ネットのレビュー、LINE、ブログ、SNS。評価し、評価されながら生きる私たちの心を描き出す6編!