今年1番、いや、近年で1番か。
胸に突き刺さる物語でした。
今作のあまりの美しさに乾いていた心に潤いが戻ってきました。最近、悩んだり悶々としていたことが吹っ飛びました。
涙、笑い、感動、よくあるパターンかもしれないが、だからこそ胸に残るし、響く。
この物語に救われました。
最初から最後まで少女、少女の成長が描かれていて、読み終えたら、様々な感情が胸の中で踊る。
主人公・八雲が母と別れ、好きな少女と離れたり、やりたいことを見つけられなかったり、そんな中でも揺月との関係は特別で、周りの人達、出会う人が支えてくれて、生を掴んでいく。
有り体に言えば、感動した。
そして、生き返った。
とにかく読んで欲しい。
ラノベ好きだけではなく、幅広く読まれて欲しい名作でした。
タイトルの意味もまた素晴らしい。
設定と文章がマッチしていて、とんでもない破壊力がありました。
これは、涙で始まり、涙で終わる物語。
全身が塩に変わって崩れていく奇病「塩化病」。その病で母親を亡くした少年・三枝八雲は、小学校の音楽室でひとりの少女と出会った。
美しく天才的なピアノ奏者であるその少女の名は、五十嵐揺月。鍵盤に触れる繊細なその指でいじめっ子の鼻を掴みひねり上げ、母親の過剰な期待に応えるべく人知れず努力する。さまざまな揺月の姿を誰よりも近いところから見ていた八雲は、我知らず彼女に心惹かれていく。
小学校を卒業し、ますます美しく魅力的に成長した揺月は、人々の崇拝と恋慕の対象となっていった。高校に進学する頃、すでにプロのピアニストとして活躍していた揺月はイタリアへと留学してしまう。世界を舞台にする揺月と、何者でもない自分との間にある圧倒的な差を痛感した八雲は、やがて小説を書き始める。
揺月との再会はある日唐突に訪れた――その再会が、自分の運命を大きく変えるものになることをその時の彼は知る由もなかった。
これは、涙で始まり、涙で終わる物語。
第16回小学館ライトノベル大賞にて、最高賞である大賞を受賞。ゲスト審査員を務めたアニメ監督・磯光雄氏は、「審査なんかとんでもない。美しい物語をありがとう」と、本作へ最大級の賛辞を送った。