羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

その意図は見えなくて

その意図は見えなくて

 

ビターな読後感が良い。1冊通して、作風がぶれないのは良いですね。

暗い雰囲気が漂う青春ミステリ。

どの短編も真実が明らかになった後に残る胸中の苦さが素晴らしい。謎そのものというより、なぜ起きたのかを問いかけてくるから、高校生のうちに秘めた気持ちを掘っていけるのだなと。事件が解けてもからなずしも、良い方向へ転ぶとは限らないのはシビアだし、現実的だと思いました。

 

各話で語り手が変わるので、様々な視点からそれぞれの少年、少女が見れるのは、視野が広がるので、素晴らしい。

 

シリーズ化して欲しい青春ミステリでした。

 

第42回小説推理新人賞受賞作を含む全5篇の連作短篇集。
高校を舞台に、何かと同級生と比べてしまったり、将来に悩んだり、圧倒的な才能を持つ生徒を前に諦めてしまったりする高校生男女が、自分は何者なのか?
これから先の自分は?
と悩みながらも答えに行き着く姿を日常の謎を絡めて描く青春群像劇。