殺し屋シリーズ一作目。再読。初めて読んだ時はピンと来なかったが、改めて読んでみたら良かったです。
淡々と話が進んでいき、思いもよらぬことが起きたり、そことそこが繋がるのかというパズル的な面白さがありました。
妻の復讐を奪われた鈴木と様々な殺し屋が交差していく様子は良い意味でズレていき、予想外の方向へ向かっていくのが楽しかったです。
押し屋、自殺専門、ナイフ使い、随分ユニークで物騒な面々が登場するが、それぞれの立場があり、狙いがある。それが上手く交差していくようになっているのは良い展開です。
一般人に近い鈴木が巻き込まれていくうちにたどり着いた結末にはホッとしました。
「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説。