家族小説として、読んでいて感情移入してしまうお話ばかりでした。
タイトルの通り、家庭に潜む問題をテーマにしていました。ユーモアのおかげで気楽に読めますが、考えてみるとピンチと隣り合わせなのに気づき、ヒヤリとなります。
夫婦の価値観の違い、両親の離婚、おかしくなった夫、などなど、悩ましいものばかり。
生きていたら色々あるし、各家庭それぞれの問題がある。それでも生きていくしかない。問題と折り合いをつけていく、登場人物の心境の変化は読み応えがあります。
夫は仕事ができないらしい。それを察知してしまっためぐみは、おいしい弁当を持たせて夫を励まそうと決意し―「ハズバンド」。新婚なのに、家に帰りたくなくなった。甲斐甲斐しく世話をしてくれる妻に感動していたはずが―「甘い生活?」。それぞれの家族に起こる、ささやかだけれど悩ましい「我が家の問題」。人間ドラマの名手が贈る、くすりと笑えて、ホロリと泣ける平成の家族小説。