河野裕先生の作品で1番好きだ!
もう3読目だけど、それでも心に響く言葉がある。
何度読んでも彼と彼女の意地の張り合いに頬が緩む。互いに違う星に住んでいるように、遠回りしながらも徐々に近づいていく距離感に釘づけにされてしまいます。
そんなことかと思うことでも、流さずに向き合って、考え抜く2人のあり方は見逃せない。
倫理観や文化、人が生きていく上で必要なことを深く考えさせられる。
差別や偏見は完全にはなくならないかもしれないが、それでも戦う姿勢を忘れないというのは大切なことだと痛感しました。
始まりから終わりまで、魅力的な作品です。
文庫の表紙が素晴らしく、加筆もあるのでお得でした。
単行本で読んでる人も是非読んで欲しい。
未読の人にも手に取ってもらいたいです。
「なかなか夜が明けなくて、明日にならなくてつらかった。地球の自転が遅すぎて、どうしてこんなに古臭い時代が続いているのか不満だった」
僕の前に現れた転校生の少女は、自らの理想のため、頑固に、誠実に、戦い続けると決めていた。永遠にわかり合えないと知っていても、一歩ずつ歩み寄ってきたはずなのに。
傷つきながら愛と呼べるものをみつけるまでの少年少女の心情を、研ぎ澄まされた筆致で綴る、青春文学の到達点。