羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

草原のサーカス

草原のサーカス(新潮文庫)

彩瀬まる先生の作品は読んでいて心すり減るけど得られる感情があるから読みたくなるんだよな。

読んでいて、正しくあるのと良い行いは会社や環境次第では成り立たないのだなと。噛み合わない考えと在り方に、胸が苦しくなる。なんでこうなってしまうだと嫌になる。でも、割り切れない感情とは別に、自分の行動に対して客観的に見れないと過ちも起きてしまうのかなと。

軸になる2人の姉妹の成功からの失敗への落下具合は現実でもありそうで、ザワザワした気持ちになりました。

最後まで読んで、失敗と向き合う大切さ、難しさが伝わってきました。

 

私たちは、なにを間違えたんだろう――。
大手製薬会社の統計解析部に所属する姉の依千佳(いちか)は、会社の要請に応えるまま、主力商品の治験データ捏造に加担してしまう。
一方、依千佳の妹で、時代のブームを牽引する人気アクセサリー作家の仁胡瑠(にこる)は、マネージャー・貝原を運命のパートナーだと信じて執着するあまり、ある騒動を引き起こし……。
突然のバブルとその終焉、未知のウイルスの世界的蔓延。
選びようのない出来事によって乱高下する世の中で、社会や組織の「正しさ」にすがっても、一度踏み外せば、容易く切り捨てられる。
正しさとは、善悪とは、何なのか。
「間違えた人」の、その後も続く人生と傷ついた心への向き合い方を渾身の力で問う長編小説。