表題作の破壊力よ。
(あらすじ)
透明人間による不可能犯罪計画。裁判員裁判×アイドルオタクの法廷ミステリ。録音された犯行現場の謎。クルーズ船内、イベントが進行する中での拉致監禁―。絢爛多彩、高密度。ミステリの快楽を詰め込んだ傑作集
表題作の透明人間は密室に潜むはかなり特殊な設定で事件が起きていて、予測不能なところが面白い。事件の背景もかなり練られていて、ただ珍しい設定というだけでなく、かなり本格でした。見事な結末でした。
アイドルオタクの裁判はかなり混沌としていましたが、推理は見事なのがおかしいくらいハマっているのが良い。落ちは笑うしかない。
耳が優れた人が事件現場の物音で真相を探ろうとするのはかなり難しいんじゃないかなと思ったが相方との相性が良くて、見事に事件の裏側を暴いていました。関係性が好きでした。
船の中で監禁されて抜け出すのは中々至難の技だと思ったが、唸るような方法や導き方で抜け出していて素晴らしかった。また、それも計算の内というのが恐ろしい。
どの話も謎だけでなく登場人物も癖になるような人ばかりで、話を読むのが捗りました。
ノンシリーズなのがもったいないくらいでした。
全てが濃い話、ミステリー。そのおかげでどれも印象に残りやすかったです。
ミステリーを良く読む人、読まない人、どの人が読んでも楽しめる豪快さがあったように思います。