死ぬ前にやり残したことを請け負い、手伝っていく。大人の2人組だからこそ、やり残したことの依頼に潜んでいる想いを拾えたんだと思います。なぜ、その依頼をしたのかまでも求めていくのが良いですね。
主人公のテルは最初は冷めていたが、すずと働いていくうちに依頼者に寄り添うようになっていくのは大切な気持ちに触れていくからこそなんだろう。
死ぬ人やその近くの人、一筋縄ではいかない感情の行き場を見つけるのは大変です。
ところどころにすずの伏線があったが、やはりというような展開が終盤に待っていました。分かっていても目頭が熱くなりました。作品を読んでいて、テルとすずのやりとりや関係が好きだったからこそ、胸に刺さり、心揺れました。
確かにすずは幸せなんだろうけど、テルは…
それでも生きていくしかない。
テルがすずに関わって、大切なものを預かった。きっとこれからも大丈夫なんだと信じます。
(あらすじ)
なんでも屋から「やり残し請け負い屋」に転身した青年テル。個性的な服装と独特な性格のWEBコンサル女子、木崎すずの手助けもあり、業績は右肩上がりだ。50年以上前の恋人の庭に、今何の花が咲いているか調べてほしい老婦人。余命僅かのため、うまく別れたいと願う夫婦。記憶喪失になった美女の、破られた日記…。一方、テル自身にも差出人不明の依頼が届く。謎解きの果て、優しい涙が止まらない、人生をやり直せる物語。