羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

か「」く「」し「」ご「」と「

か「」く「」し「」ご「」と「(新潮文庫)

 

少し不思議な能力を加えての青春群像劇です。

京、ヅカ、ミッキー、パラ、エル、仲良し五人組の間に起きるすれ違い。

それぞれがかくしごとを抱えていて、それは他人の気持ちを様々な表現で知るということ。

浮かれてしまうような能力ですが万能というわけではなく、その能力に頼ってしまうことで自分の奢りが突きつけられる苦さがまた良い。

壁にぶつかりながらも最終的に前向きになれるような気持ちになれて、爽やかさもありました。

 

こんなふうにすれ違いが起きていたら退屈しないだろうなと羨ましくもあり、自分の気持ちと向き合う青春が眩しかったです。

 

みんな表に出ない裏の感情があり、それを抱えながら輪に加わっていくのは苦しいかもしれないが、仲間が受け止めてくれるというのはどれだけありがたいか。彼彼女らの気持ちに尊さを感じました。

各人物の心境を書くのか上手く、話が進むにつれて変化していく様子が自然に見えるから、流石です。

 

5人の男女、それぞれの秘密。知っているようで知らない、お互いの想い。
みんなには隠している、少しだけ特別な力を持った高校生5人。別に何の役にも立たないけれど、そのせいで、クラスメイトのあの子のことが気になって仕方ない――。彼女がシャンプーを変えたのはなぜ? 彼が持っていた"恋の鈴"は誰のもの? それぞれの「かくしごと」が照らし出す、お互いへのもどかしい想い。甘酸っぱくも爽やかな男女5人の日常を鮮やかに切り取った、共感必至の青春小説。