相沢先生の作品で印象に残っている、「雨が降る日は学校に行かない」の雰囲気に似ていてとても好きです。
mediumで相沢先生を知った人はびっくりするかもしれないがこういう日常の苦しみも魅せられる作家さんなんだよなと再確認出来ました。
女子中学生達の短編集です。
明るい雰囲気ではなく、学校という同調圧力が強い場所で生まれる疎外感や自分の個性は"みんな"に合わないという苦しみなど負の面が多めです。しかし、救いがないというわけではないのでホッと心が温まる余韻があります。
図書室の司書さんであるシホリさんが悩める生徒達に綺麗事ではなく、その子に合った言葉や明日に希望を持てるように優しく接するから、読んでいるこちらにも届くように感じるし、悩める少女達が自分は何をすれば良いのか分かっていく。
苦しみながらもその人が大事にしているものは価値があるんだと背中を押してくれる人と出会えるのは幸せだ。
中学生という未熟な時に支えになるものがあるというのは大切なんだなと。
本、ひいては物語というのは素晴らしい文化なんだなと考えられました。
また、ミステリー作家ということでちゃんと仕掛けられていて、またその種明かしも暖かいのが素敵過ぎます。
読み終えたら、みんな幸せを掴んでほしいと願いたくなりました。きっとみんな大切ものは何か分かったはずだから。
「わたしは欠陥品なのかもしれない。自分が大人になれるって、無条件で思い込めるみんなが、羨ましい」(本文より)
中学校の「図書室」を舞台に、クラスへの違和感や未来の不安、同級生に対する劣等感など、思春期の心模様を繊細に描き出す全六編の連作短編集。