就活を経験してるしてないで持つ印象はだいぶ変わってきますね。
綺麗事を言って自分を偽り続けて不安定になる精神状況だからこそ必死になり過ぎてしまう。
グループディスカッションに備えて仲良くなった六人が急な試験変更で敵同士になり、自分の秘密を暴露されていき疑心暗鬼に囚われることで迎えた結末は偽りの真実でしかなくて、そこから8年経って、本当の真実を探していくという二段構え。いや、もっとあったかも。
正直前半から中盤までは形をなぞったような流れで物足りないですが8年経ってからは伏線を回収していくのが楽しくて楽しくて仕方がなかったです。時間ぎ経ってからということにも意味があって良かったです。
序盤は爽やか、中盤はドロドロ、終盤は圧迫感に包まれながらも素敵な余韻で締め括れる作者に脱帽です。
ただ、中盤までのミステリーとして意図的に伏せられているものがあったのは残念でした。
犯人の動機は読めなかったですが明かされた事実は就職活動で確かに気になる部分に関することでした。
人は一面だけで判断出来ないというのが痛いほど伝わってきました。
確かに悪いことをしたのかもしれないが、悪いという気持ちありきで見てしまう、フィルターをかけて人を判断してしまうのは悲しいことなんだなと。
「犯人」が死んだ時、すべての動機が明かされる――新世代の青春ミステリ!ここにいる六人全員、とんでもないクズだった。
成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を
得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。