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名探偵の証明 密室館殺人事件 文庫

名探偵の証明 密室館殺人事件 (創元推理文庫 M い 10-4)

 

前巻の屋敷の最後について、どう書かれているのか気になっていましたが、あまり言及されてなかった。

書くだけ野暮か…

ただ、蜜柑が屋敷の影響を受けていたのでそういう事なんだろう。

 

蜜柑が名探偵としてのあり方に悩んでいるので語り手にならず、代わりに蜜柑を憎んでいる斜に構えた態度の少年・日戸が身勝手な気持ちが前に出ていて嫌な気持ちになりました。

だが、事件に巻き込まれていくうちに蜜柑の名探偵としての在り方に感化されて憎しみや自分の凝り固まった考えが柔らかくなっていったのは良い変化でした。

 

事件そのものも伏線を回収していくのは見事で、犯人の思惑や別の立ち位置にいたとある人物の目的を見抜いた蜜柑の推理は素晴らしかったです。

名探偵として求められているものに苦しみながらも、自分が出来ることを固めていく方が良い。

 

名探偵の側には助手が必要で、蜜柑が独りではなくなったので、これからどう動いていくのか気になりますね。

 

 

気がつくと密室館と呼ばれる館にいた日戸涼。実力派のミステリ作家・拝島登美恵が、取材と偽って涼を含めた男女八名を、この密室館に監禁したようだ。顔を兜で隠した男など明らかに不審な人物に加え、現代の名探偵として誉れ高い蜜柑花子までいる――!! 館内で起こる殺人を論理的に解けば解放する、と拝島は言うが果たして? 出口のない館の中で次々に起こる殺人事件。トリックの解明に挑む蜜柑花子の苦悩と渾身の推理、さらに“名探偵の宿命”をフレッシュな筆致で描くシリーズ第二作。