羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

名探偵に甘美なる死を

名探偵に甘美なる死を 〈竜泉家の一族〉シリーズ

 

特殊設定ミステリーとして、何構造にも重なりあっていて、真の結末までたどり着くまでの道のりが非常に困難なものになっていました。

だが、その中身はフェアなミステリーで頭を働かせて読み進めていくのに夢中になれました。

 

現実とVRゲーム空間を行き来しながら、犯人役、探偵役に別れて和やかに謎解きをするはずだったが、人質を取られることでスリリングな展開に。

わりとシンプルな入りでしたが、犯人役、探偵役、推理ゲームにルールがあって、犯人役は犯行を隠しきらないといけないし、探偵役は正確に言い当てないと罰が下ると言う心理に負荷がかかる凝った殺戮ゲームになっていました。

 

加茂が非常に不利な立場で精神的に圧迫される状況だったので、彼の危機にハラハラします。

佑樹は推理を放棄すると言うし、どうなるのか気になりすぎました。

 

犯人の悪意に振り回されながらも、加茂がゲームに負けずに犯人の思惑を見抜いていったのは痛快でした。

犯人は入念に準備して、悪意を躊躇いなく発揮していて厄介でした。

だが、加茂と佑樹の頭脳が犯人をあざ笑うのは最高でした。

 

ネタバレを気にして、あまり言えないが犯人の背景には悲しきものがあり、拗れてしまった犯人に想いを馳せてしまいます。

ここで1巻の影響が来るのかと。

それでも、今の加茂なら乗り越えられると信じてます。

 

『時空旅行者の砂時計』『孤島の来訪者』に続く
〈竜泉家の一族〉シリーズ最新作は王道の“館”ミステリ
ちりばめられた伏線、密室の謎、二つの読者への挑戦
館に集うは『素人探偵』8名
VR空間と現実世界で繰り返される殺人・・・・・・
生死を賭けたゲームの行方は?

「犯人役を演じてもらいたい」と、メガロドンソフトから依頼を受け、VRミステリゲームのイベント監修を請け負った加茂冬馬。会場であるメガロドン荘に集ったのは『素人探偵』8名、そこには「幽世島」の事件に関わり現在はミステリ作家となった竜泉佑樹もいた……。しかしイベントは一転、探偵とその人質の命を懸けた殺戮ゲームへと変貌を遂げる。生き延びるには、VR空間と現実世界の両方で起きる殺人事件を解き明かすしかないーー! 『時空旅行者の砂時計』『孤島の来訪者』に続く、 “館もの”本格ミステリ長編。