羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

トリカゴ

トリカゴ

 

無戸籍者を題材にした社会派ミステリー。

 

無戸籍者がいるのは知っていたが、改めて知ることが出来て良かったです。当たり前の基準が変わってしまっている彼らにとって、戸籍を持っている人をどう感じているのか。学ばせてもらいました。

日々、当たり前に受けているサービスも受けられない人達もいるというのは分かっていても受け止めきれなかったが、今作を読んで、そういう不利な生き方をしいられる不条理さを感じました。

困っている人を支えられる社会にならないといけないのだなと。

 

 

物語としてはミステリー要素を絡ませられていて、リョウとハナの正体についてや鳥籠事件、不穏な空気がまとっていたが、終盤にひっくり返したような真相に驚かされました。

見逃していた伏線が多々あり、悔しくも良い展開でした。

 

主人公・里穂子の警察官として、母親として揺れる心情を描いていて、非常に魅力的でした。

悩みながらもリョウやハナ達に寄り添っていった里穂子を裏切るような展開にならなくて良かったです。

リョウやハナ達がユートピアという幸せな空間から現実と向き合っていくに至るまでの過程が素晴らしかったです。

 

最終的に飛び立つことになる登場人物の未来に希望があるようにと祈りたくなりました。

 

 

蒲田署強行犯係の森垣里穂子は、殺人未遂事件の捜査中に無戸籍者が隠れ住む生活共同体を発見する。その共同体“ユートピア"のリーダーはリョウ、その妹のハナが事件の容疑者となっていた。彼らの置かれた状況を知った里穂子は、捜査が“ユートピア"を壊すのではないかと葛藤を抱くようになり……『十の輪をくぐる』の著者渾身の書き下ろし長編ミステリ。