今巻までのタレーランは人の負の感情を見る場面が多かったが今巻は謎が解けたら前に進めるような雰囲気の短編集で、好きな一冊です。
叙述トリックがあり、ミスリード要素はあるが、たどり着いてみたら、景色がガラッと変わる様子は見事でした。
読後感は爽やかです。
最初のエピソードは種明かしされたら、頬が緩みます。
アオヤマが美星さんからのプレゼントを取り戻す際に見せた意地は良かったですね。
美星さんが落ち込んでいた際に見た人の暖かさは良いものでした。
書き下ろしも、補足としても単体としても良い。
五年前に失意の美星を救ったのは、いまは亡き大叔母が仕掛けた小さな“謎”だった―。京都にひっそりとたたずむ珈琲店“タレーラン”の庭に植えられたレモンの樹の秘密を描いた「純喫茶タレーランの庭で」をはじめ、五つの事件と書き下ろしショート・ショートを特別収録したミステリー短編集。