羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身 (文春文庫)

 

映像版を観て、内容を知っていても衝撃を受ける最後。

気になっている人のために、徹底的に警察を欺いていく姿勢に胸が痛む。

自身を犠牲にしても貫き通す石神の姿を否定出来ない。

頭がズシンと重たくなる真相でした。読者と警察を欺いた石神の頭脳は見事でした。論点をズラすってそこに使えるのかと驚きました。

 

また、その原動力となった石神の愛の深さにも驚きます。最後の石神の姿は忘れられそうにないです。

 

ただ、最後に我慢しきれなかった靖子さんの心情もよく分かる。

罪の意識を抱えながら生きていくには、人生は長い。

 

報われない最後には湯川先生の配慮に暖かみがありました。

 

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。