羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

八月の銀の雪

八月の銀の雪(新潮文庫)

表紙から素晴らしい。表紙になってる話が1番好きで印象的だっただけに良い絵だなと思います。クジラを見る母と娘の図は読み終えたら心に響くものがあります。

悩みは尽きないけど、気持ちが晴れたならそれで良い。背中を押してくれる作品です。
 

ぐらぐら揺れる心理描写を読むと登場人物に感情移入してしまう。

悩める人達が思いや悩んでる状態から、様々な科学要素をフックにモヤモヤする気持ちから解き放たれていく様子は読み応えがあります。

 

「お祈りメール」の不採用通知が届いた大学生は、焦りと不安に苛まれていた。
2歳の娘を抱えるシングルマザーは、「すみません」が口癖になった。
不動産会社の契約社員は、自分が何をしたいのか分からなくなっていた……。
辛くても、うまく喋れなくても、
否定されても邪慳にされても、
僕は、耳を澄ませていたい――地球の中心に静かに降り積もる銀色の雪に。深海に響くザトウクジラの歌に。見えない磁場に感応するハトの目に。珪藻の精緻で完璧な美しさに。高度一万メートルを吹き続ける偏西風の永遠に――。